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【SDGs】地産地消とは?メリットやデメリット、個人でできることも

近年、地産地消という言葉がよく聞かれるようになりました。なんとなく意味はわかっていても、具体的にどのようなことなのかイメージしにくいという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、地産地消について、メリット・デメリットや個人でできることを混じえて解説していきたいと思います!

地産地消とは

地産地消とは

地産地消は1980年代に作られましたが、一般的に認知が広まったのは1990年代になってからでした。価格が安い海外輸入品の取扱量が増えていくにつれて安全性への疑問が高まり、現代でも日本各地で地産地消の動きが見られます。

令和3年8月に農林水産省から発表された、地元で生産された農産物を生産者が直接販売する「直売所」は全国で23,650施設あります。直売所の規模や経営主体は関係なく、地場産率は約9割を占めます。地産地消と聞くと一般的に認知度が高いのは「直売所」ではないでしょうか。

直売所の他にも、施設や学校の給食でも、地元産のものを利用しています。観光客を対象とした直売会・農業体験・収穫体験などの観光でも、外食や中食事業でも地元産のものを活用する動きなどが増えてきています。

地産地消のメリット

地産地消は消費者・生産者・地域社会にとってメリットがあります。ここでは地産地消の主なメリットを解説します。

新鮮なものが買える

鮮なものが買える

地元で生産されていて輸送に時間がかからないので、より新鮮なものが販売でき、消費者は採れたてのものを購入できます。また、旬の時期は栄養価が高いのと、安く買えることが多いのもメリットです。

生産者にとっては、流通コストを抑えることができます。また、直接販売する場合、消費者へ商品の価値をPRできれば規格外でも販売しやすくなり、フードロスを減らすことにも繋がります。少量の産品・調理品も可能です。消費者のニーズを捉えることができて、効率的に生産することができます。

生産者と消費者、お互いに顔が見られる距離感で生産状況などを確認でき、安心して生産・消費できるのです。

学校給食で消費することによる食育

学校給食で消費することによる食育

文部科学省は2016年度から、学校給食で地元で採れた食材がより活用されるように全国的な普及を行なっています。学校給食で消費することは、地域の生産者などの学校教育への理解が深まり、学校と地域との連携・協力関係にも繋がります。

農林水産省では「地産地消等優良活動表彰」と「地産地消給食等メニューコンテスト」を2018年度に統合し、学校給食などでの地元産の食材利用や農業体験などの取り組みを表彰しています。

例えば、2019年の長崎県平戸市の給食では、地場産率は重量比で79.6%でした。年間60種類の野菜や果物を献立に取り入れています。室町時代から伝わる平戸伝統野菜の木引(こひき)かぶ・里芋の親芋・水芋の茎・マコモダケなども学校給食で活用されています。

小・中学校の授業で、地元の食材を活用した献立を作成して、優秀な献立を給食の献立として採用されています。地元産の食材を利用した手作りの給食が普及し、給食残食率も年々低下。残食ゼロの日も増えています。

地域で栽培された、身近な食材から「食」の大切さ・食文化の継承・環境への関心・食料自給率などの食べ物の体への影響と、感謝の気持ちから心を豊かにする影響があるのも、地産地消のメリットです。

参照:農林水産省 2.学校給食の取組

地元の地域活性化

地元の地域活性化

地元の食材を生かしたメニューをPRすることで、料理店や旅館などに集客を見込むことができます。

コロナ禍で気軽に旅行へ行くのが難しい今は特に、ピンチをチャンスに変えようと各地域が色々と取り組んでいます。

今回はその中でも、令和2年度に地産地消等優良活動表彰の中で食品産業部門の農林水産大臣賞を受賞した福岡県の筑前町にある株式会社筑前町ファーマーズマーケットみなみの里(以下みなみの里)を例にご紹介します。

みなみの里は、道の駅で直売所・加工所・レストラン・弁当工房を運営しています。筑前町の町長が社長を勤め、地域の課題も把握していたり、職員全員が意見を出しやすい環境でアイデアが採用される仕組みができています。

参照:令和2年度地産地消優良事例

新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校が休校になり、学校給食に納入するはずだったキャベツの販路が無くなってしまいました。そのキャベツを全部、お好み焼きにして直売所で販売しました。

また、家庭向けの旬の野菜や山菜を使用したお惣菜を詰め合わせた「筑前おふくろ便」をネット販売するなどの取り組みをしました。

他にも地域の特産の筑前クロダマルという、商標登録した黒大豆のブランディングや生産者の育成などにも力を入れています。今後は真空包装を活かした非常食や、保存食の商品開発などにも力を入れていくそうです。

地域で生産されたものを活かし、生産者を育て、新たなチャレンジもしていくといった活動によって地産地消と共に地域も活性化されています。

みなみの里のように色々な取り組みをしている企業や組合など、毎年「地産地消優良事例」として表彰・紹介されています。

フードマイレージの抑制

フードマイレージの抑制

フードマイレージ(Food Miles)とは、食料の輸送距離と総輸送量を指し、「重さ(トン:t)×距離(キロ:km)」で計算されます。

輸送手段によって二酸化炭素の排出量は異なるものの、食料の輸入が地球に与える影響を考えた指標です。

世界で1番フードマイレージが高いのは日本です。高い原因として考えられるのは下記の理由です。

  • 食料自給率が低く、食料の総消費量の60%以上を輸入している
  • 島国なので、飛行機や船の移動距離が長い
  • パンや肉など、食生活の欧米化

日本の次に高いのは、韓国やアメリカですが、日本の数値の1/3程度。日本のフードマイレージの高さは突出しています。

地産地消を進めることで、輸入食料の減少に繋がりフードマイレージの減少になり、二酸化炭素の排出量が抑えられると言えます。

地産地消のデメリット

地産地消はよい点ばかりではなくデメリットもあり、主に生産者側にとってのものが多いです。ここでは、地産地消にどのようなデメリットがあるかを解説していきます。

生産以外の能力

生産以外の能力

生産者は生産以外にも出荷・宣伝・販売・品質管理など、作物を育てる以外の能力が必要になります。

能力が必要な分、労力も必要になり、仕事が多岐にわたります。また、もし消費者のニーズと合っていなかった場合には売れ残りの破棄・処理をしなければいけません。

地域のブランド品として認めてもらえるように、品質や販売などの工夫やPRの戦略を練らないと地産地消が叶わないことも考えられます。

政府は6次産業化(*1)交付金として支援をするため、令和3年度の予算として18億9400万円の内数を計上。直売所の売り上げ向上や施設・給食で地元で採れた農林水産物の利用拡大に向けて、集出荷システムを構築する支援をしています。

農業法人などの農業生産者の組織団体に向けて、6次産業化に必要な加工・販売に必要な施設などの整備も補助をしています。プロデューサーを招へいして、農林水産物や食品の地域ブランド化をサポートをしており、利用することで地域ブランド化が実現する可能性もあります。

*1 6次産業化とは、生産者(1次産業)が生産物の価値を上げることで、所得の向上を目指すもの。生産だけではなく加工(2次産業)や、流通・販売(3次産業)にも取り組むことで地域経済の新たな付加価値を生み出すのが目的。1次産業(1)×2次産業(2)×3次産業(3)=6で6次産業と呼ばれる。

参照:強い農業づくり交付金(地産地消推進特別枠)

学校給食へは一定量の安定供給

学校給食へは一定量の安定供給

学校給食で使用する場合、一定量が必要です。また、規格外の野菜を使用する場合は形や大きさが揃っていないと、給食の調理員への負担が大きくなる問題もあります。

規格外の野菜でも使用できるよう、調理が可能になる設備の導入や、地域で採れる農林水産物のメニューの開発などが必要です。

政府は学校給食での地元産の食材や、国産の食材を使用する割合を金額ベースで維持し、向上した都道府県の割合を令和元年に比べて令和7年度までに90%以上にすることを目指しています。

地産地消を推進することで、学校給食での食育の一環として生きた教材として、子供たちが持続可能な食の実現を考えられるようになる取り組みであるとも言えます。

参照:地産地消の推進について 令和3年8月 

私たち個人が地産地消のためにできること

最後に、私たちが地産地消のためにできることをいくつかご紹介していきます。

地元で採れたもの・作られたものを選ぶ

地元で採れたもの・作られたものを選ぶ

採れたての旬の食べ物は美味しく、栄養価も高いです。地元のものを選ぶことで、環境にも体にも優しい選択になります。

しかし、急に全てを地元産に切り替えるのは大変です。まずは、産地を確認・知るところから始めましょう。

海外産のものよりは国産のものを、なるべく自分に近い県のものを選ぶなど、無理がないように少しづつ取り入れるのがおすすめです。小さな行動がやがて大きな一歩となっていくでしょう。

産直市場・ファーマーズマーケットなどで買い物をする

産直市場・ファーマーズマーケットなどで買い物をする

地元の生産者が出品している場で買い物をすることで、地産地消に繋がります。また、地域の伝統的な食材やお惣菜が出回ることが多いので、あらためて地域のことを知る機会にもなります。

産直市場では、生産者の方の名前や連絡先がバーコードと共に書かれている場合もあります。直接やり取りすれば、さらに深く生産者の想いを教えてもらえるかもしれません。

私が知る銀杏の生産者の方は、産直市場に出品しているラベルを見て、おいしかったと絵手紙をいただいたそうで、大変嬉しそうに見せていただいたことがあります。毎年、銀杏の季節になると手紙のやり取りをされているそうです。

生産者と繋がることで、さらにその食材に愛着がわくこともあるでしょう。そんな体験が食を大切にすることに繋がり、家庭のフードロスが減らせるようになるきっかけになるかもしれません。

最後に

いかがでしたでしょうか?地産地消がどういったもので、どのようなメリットがあるかお分かりいただけたのではないでしょうか。

本記事で少しでも地産地消に興味・関心が沸いた方は、ぜひ友人や家族にシェアしてくださいね!

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