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【リアル】田舎で子育てするメリット・デメリットとは?都会から移住した3人の子どもを持つ母がリアルを語る

近年は、子どもを持つ家族の地方移住に関する話題を、テレビやインターネットで見かける機会が増えました。コロナ禍が始まってからは特に、広々とした家や自然溢れる環境の中で子育てをしたいと考え、田舎へ移住した/移住を検討している家族も多いようです。

しかし、周りに田舎へ移住した人がいない方にとっては、田舎で暮らすことが子どもにとってよいのか不安なもの。家族にとってはとても大きな決断になるため、情報を集めて慎重に考えたいと思う方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、田舎で3人の子どもを育てる私Yumiが、日々の実体験から思う田舎での子育てにおけるメリット・デメリットをリアルにお伝えしたいと思います!

人口約2,000人の小さな田舎町

人口約2,000人の小さな田舎町

私が住む地域は数年前に別の町と合併をしていますが、地域だけで見ると人口は約2,000人ほどしかいません。子どもの数は減っており、いわゆる過疎化・少子高齢化が進んでいる場所と言えます。

一方で、壮大な山々に囲まれ、きれいな川が流れるなど、自然溢れる環境があります。空気が澄んでいて、音も静かなので、穏やかな生活を望んでいる方にはぴったりかもしれません。

また意外にも都会からの若い移住者も増えており、まちづくりに励む人たちがメディアに取り上げられるなど、地域活性化の活動が少しずつ注目を集め始めています。

こちらの記事もチェック:住み続けられるまちづくり。人口2,000人の田舎町を住みたくなる町へ

田舎で子育てする4つのメリット

まずは、私が住む田舎での子育てのメリットだと感じることを4つご紹介します。

①豊かな自然に囲まれた環境

①豊かな自然に囲まれた環境

田舎で子育てをする大きなメリットの1つは、豊かな自然に囲まれた環境です。

山の中に住む我が家の子どもたちは、大声で歌を歌い、花の蜜を吸ったり、木苺を食べたり、草花でアクセサリーをつくったりなど、のびのび楽しそうに遊んでいます。

ちなみに、21世紀を生きる子ども達にとって必要なスキル(21世紀型スキル)を定義している団体がいくつかありますが、その中でもP21(Partnership For 21st Century Learning )という団体が必要不可欠な学習テーマの1つ​とし​て「環境のリテラシー(Environmental Literacy)」を挙げています。

環境リテラシーとは「環境に関わる人間の資質や能力を示す概念」で、社会の在り方が自然環境に対してどのような影響があるのかを理解する力のこと。子どものときにキャンプやハイキングなどの自然体験をしている人は、大人になってから自然環境を意識し、大切にする傾向があるとアメリカで研究発表されています。

他にも、

  • 集中力が高くなり、注意欠陥や多動が緩和される
  • 心のゆとりによってストレスが減り、精神が安定する

のようなメリットがあるとも言われています。

参照:Battelle For Kids

②土地や家賃が安いぶん、教育資金へまわせる

②土地や家賃が安いぶん、教育資金へまわせる

都心に比べて田舎での仕事は低賃金なのは事実ですが、そのぶん土地や家賃も安いです。

住む家にもよりますが、私が暮らす地域にある賃貸の戸建ては数万円。10万円を超える物件は、よほど町の中心部などでない限り見かけません。

都心だと戸建て・マンションは10万円を超えるものが多いでしょう。我が家の家賃・電気・ガス・水道料金でかかるコストは、結婚前に都心で1人暮らしをしていたときの家賃よりもずっと安いです。

我が家は大家さんと直接やりとりをしているので、敷金・礼金・更新料などもありません。

家賃が安いのは大家さんのご厚意もあります。また了解を得た上で自分たちで床を貼り直し、キッチンや洗面所のタイルを貼ったりなどのリフォームしたので、ある程度の初期費用はかかりました。

しかし6年住んでいる今、長い目で見ればそこまで大きな金額ではありません。生活コストが抑えられるので、そのぶんをリフォームの初期費用や子どもの教育資金にまわすことができています。

③地域の方とのコミュニケーション

③地域の方とのコミュニケーション

我が家の住む地域は子どもの数が少ないのもあり、騒いでも「子どもの声が聞こえて嬉しい」と言ってくれます。素敵な笑顔で穏やかな優しい方ばかりで、1度も「うるさい」などの苦情は受けたことがありません。

同じ地域のおじいちゃん・おばあちゃんから話しかけてもらったり、お菓子をいただいたり、色々教えてもらえるのでとてもありがたいです。

また、野菜を育てている人が多く、旬の採りたて野菜をいただくこともあります。ツヤツヤで美味しい野菜を食べているので、子どもたちは野菜が大好きで、夏はトマトの取り合いをしてケンカをするほどです。

他にも猪肉・鹿肉・アマゴ・ヤマメなどの野生のお肉や川魚をいただく機会もあるなど、山暮らしの「食」は豊かです。猪肉は捌く前にも見せてもらえるときもあるので、「いただきます」の意味を実感でき、都心では経験できない貴重な体験をさせてもらっています。

④遊び場所が空いている

④遊び場所が空いている

私の実家は神奈川県です。前に里帰りしたとき、近くの公園には人がたくさん来ていて、周りに気をつけながら子どもを遊ばせました。都心の公園は子どもだけでなく、ご高齢の方も集う場所なのでボール遊びができないなど、遊びが制限されるという話も聞いたことがあります。

私達の暮らす町の公園は、ローラーコースター・ターザンロープ・アスレチック・レンタル自転車・芝滑りなど、広い敷地に様々な遊具があり、駐車場はもちろん無料です。そして、遊びに行っても順番待ちをすることなく、時には貸切状態で遊べます。

公園まで行かなくても家の周りでも遊べます。

  • 春 シロツメクサでネックレスや指輪などをつくる、山菜採りなど
  • 夏 川遊びや昆虫採集、「となりのトトロ」のように畑で野菜の収穫して食べるなど
  • 秋 どんぐりを集めてコマをつくったり、おままごとの食材やお金にする。栗拾い・芋掘りなど
  • 冬 焼き芋や干し芋作り、雪が積もればカマクラや雪だるまづくり、そり滑りなど

家の周辺が広いので、木にブランコやハンモックを吊ったり、テントを張ったりなどもできます。アイデア次第で遊びが広がるのは、田舎での子育てにおいて大きなメリットだと感じています。

田舎で子育てする4つのデメリット

私達が住む地域でのデメリットと感じることをご紹介します。

①文化施設や遊園地などの施設が遠い

文化施設や遊園地などの施設が遠い

都心には行きやすい美術館・ギャラリー・博物館・動物園・水族館などが多くありますが、田舎にはなかなかありません。私達の家からは車で片道1時間程度はかかります。他にも遊園地などのアミューズメント施設も遠いので、ゆっくり遊ぶには周辺で宿泊することになります。

遊園地やイルカのショーなどをする大規模な水族館などは近隣に無いので、実家に帰ると子ども達が行きたがり、子ども達にとって里帰りの楽しみの1つです。

②習い事が限られる

②習い事が限られる

私達の家の最寄りにある習い事は習字とピアノです。プール・塾・ダンスを習う場合には車で30分、フラダンス・英会話・体操教室は1時間くらいは最寄りの教室までかかります。「最寄り」なのでこだわるともっと遠い場所に行く場合もあります。近いとは言えないので、小学校以上へ進学すると、放課後に習える時間が限られてきます。

また、どの習い事も交通網が乏しい地域は自力で行ける距離ではないので保護者が送迎しなければなりません。私も車で片道30分程度かけて習い事の送迎をしています。今はオンラインで習えるものもあるので、上手に活用できれば習える幅が広がるでしょう。

③学校の選択肢がない

③学校の選択肢がない

都心のように私立学校は最寄りにはありません。公立幼稚園・小学校は人数が少なく、1学年の人数が1桁は当たり前になってきました。

人数が少ない分、先生の目が行き届き、みんなの仲が良いのはメリットですが、人数が少ないのは1クラス30人で何クラスかある地域と比べると友達も限られます。また、都心と比べると学力に差があるのは以前から言われていることです。

今は習い事同様、オンライン塾などで補うこともできますが、「たくさんの人の中で競争心などをつけてあげたい」など、子どもの教育方針によっては都心の方が適している場合もあります。

④子供だけで遊びにいけない

④子供だけで遊びにいけない

習い事同様、どこへ行くにも車が必要です。先程ご紹介した公園も車で10分かかります。我が家の場合は麓から少し上がった山の中なので、子ども1人で行き来するには勇気がいるようです。都心では不審者などを心配しますが、ここではイノシシやサルなどの山に住む生き物との共存なので、子どもだけの時の遭遇が心配です。

都心では友達と一緒に子どもだけでおやつを買ったり、自転車で遊びに行ったりできると思います。私達の住む町も麓に住む子ども達は自転車で集合して遊んでいますが、ちょっと山に入っている家庭や近隣に子どもがいない家庭は保護者が送って行き、親同士が連絡を取り集まって遊ぶか学童保育に行って遊ぶかになります。

自分が子供の頃は学校から帰ったらすぐに自転車に乗って友達と遊びに出かけていたのですが、「子どもだけ」で遊ぶ時間が学びの時間だったと思います。その時間が取れないことにデメリットを感じます。

田舎での子育てを考えている方へ

田舎で子育てを考えている方にお伝えしたいのは、何を重視して移住という選択をするかが大切であるということです。例えば私の友達は東京から移住してきましたが、移住の目的は、ぜんそくの子どもを育てるのに綺麗な空気の中で子育てしたいということでした。他にも東日本大震災がきっかけで移住した家族も何組かいます。

単に「スローライフ」など、言葉や雰囲気に憧れて移住すると困ることがあるかもしれません。安い家賃の家は「安い意味」があるのはどの地域でも一緒です。移動の中心は車です。維持費も車検代もガソリン代も、雪が積もる地域はスタッドレスタイヤなど、都心で車を利用しなかった人にとっては大きな出費の1つです。

ただ、自然の中での子育てや生活を希望する人にとっては、今回お伝えした以外のメリットもたくさんあります。都心ではなかなか味わえない解放感は味わってしまうと、都心暮らしには戻れないと言う人がいるくらい素晴らしいです。

また、どこに住むにしても長く住むことを希望しているのであれば、先の生活も見込んで家を選ぶ必要もあります。私達は今の家を探していたときは3人家族で、子供は3歳でした。今は5人家族になり、引っ越してきたときとは生活スタイルがずいぶん変わりました。子どもの進学をきっかけに町の中心部やアクセスに便利な場所へ引っ越す話も聞きます。住み続けるには子どもを毎日送迎する必要があるので、仕事が限られる場合もあるでしょう。

地域の雰囲気はもちろんのこと、子どもがのびのび遊べる環境と保護者の仕事環境のバランスが取れる場所でみんながニコニコ暮らせたら、理想の移住生活と言えるのではないでしょうか。

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