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世界の地球温暖化対策への取り組みを知ろう!歴史や各国の具体例も紹介

年々加速する地球温暖化。地球の平均気温が上がることで氷河や氷床が溶けたり、水温が上がることで海水の体積が膨張し海面が上昇するという現象が起きています。

このまま地球温暖化が進むと、南太平洋のツバルやキリバスをはじめとした海抜の低い島などが水没する可能性があると言われています。さらにアメリカ海洋大気庁が出している最悪の予測値まで海面が上昇した場合、2100年にはアメリカのサンフランシスコやニューヨークまでもが水没するという計算まで出ています。

その他にも生活用水の枯渇、異常気象による災害など、人間の暮らしに様々な悪影響を引き起こすリスクもあり、地球温暖化を防止するために世界中の国々があらゆる取り組みを行っています。

本記事では、これまでどのような流れで地球温暖化防止への対策が行われてきたのか、それを受けて各国ではどのような取り組みを行っているのかなどを解説していきたいと思います。

地球温暖化防止への国際的な取り組みの歴史

地球温暖化の問題が国際社会の議題に上がってきたのは、つい最近の話ではありません。まずは、これまでの地球温暖化に対する国際的な取り組みの流れを見ていきましょう。

地球サミット

「地球サミット」は10年ごとに開催されていている国連環境開発会議(UNCED)です。

注目すべきは1992年6月3日〜14日にブラジルのリオデジャネイロで開催された会議。当時の国連加盟国172カ国のほとんどの国家主席が参加し、環境と開発をテーマにした国際会議で持続可能な発展と地球規模のパートナーシップの構築を目指した「リオ宣言」が採択されました。

その中でも「アジェンダ21」は、大気・森林・砂漠・植物多様性・海洋といった分野ごとの具体的な行動計画となっており、10年ごとに開催される地球サミットの中で毎回確認されているなど、現在でも環境保護のための各国の政策コンセプトの大きな柱となっています。

気候変動枠組条約

気候変動枠組条約は「リオ宣言」を実現化するために採択されました。

この条約の1番の目的は「温室効果ガスの削減」。気候変動を抑えるために会議中に日本も含めて155カ国が署名。署名したすべての国々に、温室効果ガス削減の計画と実施・排出量の実績の公表という義務を課しています。

日本を含む先進国に対しては追加義務として、途上国への資金提供や技術推進なども定められています。「共通だが差異ある責任(CBDRRC :Common But Differentiated Responsibilities)」の考えに基づいて、先進国は途上国よりも重く責任をとるべきとされています。

この気候変動枠組条約は、その後の「京都議定書」や「パリ協定」への流れをつくりました。

京都議定書

「京都議定書」は気候変動枠組条約をクリアするための2020年までの枠組みとして、1997年のCOP3(国連気候変動枠組条約締約国会議:通称COP。数字は開催回数)で締結されました。

先進国のみが定められたCO2削減の数値目標の義務を負うとされ、2008~2012年の間に日本は6%削減、EUは8%削減などの数値目標を課されることとなりました。

しかし、2001年にアメリカ、2012年にはカナダが京都議定書から脱退。中国やインドといった新興国のCO2排出量が先進国よりも多かったにも関わらず、それらの国々に数値目標の義務が課せられていなかったのが理由です。

結果的に、温室効果ガス排出量の多いアメリカや新興国が削減義務を負っていないという構図ができてしまいました。そのような状況では温室効果ガスの削減対策をするのが困難であったため、京都議定書ではない新しい枠組みが必要になりました。

パリ協定

京都議定書に取って代わる新しい枠組みが「パリ協定」です。

2015年のパリで開かれたCOP21で採択され、歴史上初めて全ての国が温室効果ガス排出削減への取り組みを決めました。公平で実効的な気候変動対策として、先進国・途上国の区別なく気候変動対策の行動をとることを義務づけられています。

パリ協定では以下のような世界共通の目標があります。

  • 産業革命より前と比較して世界の平均気温を2℃よりも低くし、1.5℃に抑えるようにする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量のピークを迎えられるよう削減し、21世紀後半には温室効果ガス排出量と(森林の光合成などによる)吸収量とのバランスをとる

参照:経済産業省 資源エネルギー庁 今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~

パリ協定では先進国だけではなく、途上国含め全ての加盟国と地域で2020年以降の「温室効果ガス削減・抑制目標」を定め、長期的な「低排出発展戦略」を作成・提出努力をするよう求めています。また長期目標の到達具合を「グローバル・ストックテイク」と呼び、2023年から5年ごとに実施状況の結果を確認して次の目標が検討されるようになりました。

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年にパリ協定で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記された、2030年までに持続可能な世界を目指す国際目標です。

その中の1つとして掲げられているSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動による災害や自然災害への適応能力の強化が重要だとされています。

開発途上国の温室効果ガス削減においては、国際基金「緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)」が国連気候変動枠組条約(UNFCCC:大気中の温室効果ガスの安定などが目的の条約)に基づいて支援を行っています。

また、途上国や小さな島国の気候変動への効果的な計画や管理能力を向上させるための仕組みづくりも行われており、地球温暖化・気候変動の問題に世界全体で取り組むべきだという流れが本格的に始まりました。

世界の国々の地球温暖化対策の具体例

地球温暖化防止への国際的な取り組みが行われている今、各国では具体的にどのような対策をしているのでしょうか。

ここでは中国・アメリカ・インド・EU・日本の例を挙げてお伝えしていきたいと思います。

中国

温室効果ガスの排出量が世界1位の中国。世界最大の人口である14億人を抱えており、再生可能エネルギーを大量に導入している一方で、化石燃料の消費も増えているのも現状です。

食事を残すのがマナーの中国では、食品ごみ(生ごみ)が固形廃棄物の50~70%を占めていました。そこで、2020年8月中旬より「光盤運動2.0」という食品ロス削減運動という取り組みを開始。例えば、食べ放題で食べ残した場合、50グラムにつき100元(約1,500円)の罰金をとるレストランがニュースになりました。

また2020年9月22日に行われた193カ国の首脳が参加する国連総会では、「2060年までに温室効果ガス実質ゼロ」宣言をしました。2030年までに排出量を減らし、2060年までにカーボンニュートラル(*1)達成の目標を掲げています。

世界で1番CO2排出量の多い中国がこのような取り組みを行うことは、世界の地球温暖化対策にとっても大きな1歩になると言えます。

*1:二酸化炭素排出量と植物の光合成などによる吸収量が同量である状態。

アメリカ

トランプ元大統領政権時代にパリ協定から離脱したアメリカは、バイデン大統領へ政権が交代してから協定復帰の署名が行われています。さらに2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロへ、2035年までに発電に伴う二酸化炭素の排出量をゼロにすると2021年4月に発表しました。

また、オバマ政権時代には「グリーン・ニュー・ディール(GND)」という、地球温暖化と雇用問題を一緒に解決する経済刺激策も打ち出されています。具体的には、地球温暖化対策に繋がる再生可能エネルギーなどの開発や普及に投資。温室効果ガスを削減しながら雇用を生み、経済の活性化を図る政策となっています。

<グリーン・ニュー・ディールの具体的な内容>

  • 温室効果ガスの排出量ゼロを目指す
  • 電力需要に対し再生可能エネルギーなどのゼロエミッション源(全ての廃棄物を原材料などとして有効活用して廃棄物を一切出さない資源循環型の社会システム)で対応
  • 交通網を見直し、ゼロエミッション車や公共交通、高速鉄道などへの投資
    テキサスでは日本の新幹線の技術を導入することも検討されている
  • 気候変動関連の災害へのインフラや設備の更新
  • クリーン製造業の振興
  • スマートグリット(次世代送電網とも呼ばれる供給側・需要側から電力量をコントロールできる送電網)の整備

インド

中国に次ぐ世界2位の人口を抱えるインドでは経済が急成長しており、それに伴ってエネルギー消費量が増加し、温室効果ガスの排出量も急増。2030年までに国内総生産(GDP)1単位当たりの温室効果ガス排出量を、2005年の排出量の33~35%削減すると発表しています。

具体的な取り組みとしては、2012年より「省エネ証書取引制度(PAT)」を開始。対象となる火力発電所を含む事業者はエネルギー消費量を削減する義務があり、設定した目標値を達成できなかった場合は罰則を受けます。

また、インド政府は2030年までにガソリン車・ディーゼル車などの販売を規制し、販売する自動車を全て電気自動車にすると表明しています。都市部の深刻な大気汚染解消にも期待されている取り組みとなっています。

EU

デンマーク・ドイツ・スペイン・フランスなどの全27カ国が加盟している欧州連合(EU)。2020年9月に発表した目標では、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年の少なくとも55%減を掲げています。

また欧州グリーンディール(EUの気候変動対策)では2050年までに「排出量を実質ゼロ(クライメイトニュートラル)」を目指しており、再生可能エネルギーの導入の加速や2021年の夏までにエネルギーに関する法制を見直す予定です。

EU首脳は復興基金で市場から調達する7500億ユーロ(約93兆円)のうち、その3割をグリーンボンド(環境を改善するために発行する債券)を発行すると表明。2030年の温室効果ガス削減目標の達成に向け、自動車のCO2排出規制を強化するほか、再生可能エネルギーの拡大、ビルの省エネも強化していくと見られます。

日本

私たちの暮らす日本で行われている取り組みも見ていきましょう。

日本は、NGOから地球温暖化に対して前向きな姿勢が見られない国に対して贈られる不名誉な「化石賞」を2度も受賞。世界から温室効果ガス削減に消極的な国だと見られています。

発電効率の高い石炭火力発電は、二酸化炭素の排出量が天然ガスの2倍近く。排出量ゼロを目指すには石炭を使う発電を止めるのが優先順位が高い項目と言えますが、日本では石炭火力発電を未だ新設する計画が多いのが現状です。

また途上国へ石炭火力発電の輸出もしており、脱炭素社会を目指している世界に対し足を引っ張っている格好となってしまっています。

なお、日本の温室効果ガスの削減は、中期的・長期的な目線で目標が立てられています。

  • 中期的な目標:2030年度までに2013年度と比べて26.0%の水準にすること
  • 長期的な目標:2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減と再生可能エネルギーの「主力電源化」

中期的目標の26.0%という数字は、東日本大震災後に増えた石炭火力発電によりCO2排出量が大量に増えた2013年のものを基準としています。国際的には1990年のCO2排出量を基準にすることが多く、日本は1990年時のものと比べるとさほど削減されていないというのが現状です。

こちらの記事もチェック:日本の地球温暖化への対策を知ろう!現状や取り組みを解説

最後に

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」。

地球温暖化に対し積極的に取り組んでいる国や、日本のように消極的と言われる国もありますが、2050年には各国の目標が達成され、地球全体の温室効果ガスが減ることを願います。

また、私たち一人ひとりも関心を持つことで、意識が個人から世間、企業や国に広がっていきます。本記事を読んでいただいた方はぜひ、SNSでシェアしたり、家族や友人と話していただけたら幸いです。

過去記事:地球温暖化の現状を知り、私たち1人ひとりができることを考える

過去記事:地球温暖化を防止するのになぜゴミの減量が重要なの?3R・4Rについても解説

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