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地球温暖化を防止するのになぜゴミの減量が重要なの?3R・4Rについても解説

現代社会で大きな問題となっている「地球温暖化」。この地球温暖化を引き起こすCO2排出量に深く関係するのが「ゴミ問題」です。日本では1960年代から高度経済成長と共に産業廃棄物が増え、水俣病やイタイイタイ病などでも注目された公害によりゴミ問題も一般市民にも広く知られるようになりました。

近年では循環型社会を目指した様々な取り組みが行われていますが、平成30年度の日本の一般廃棄物は4272万トン。東京ドームのなんと約115杯分と、まだまだゴミの量が多いというのが現状です。

そこで今回は、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさを守ろう」にも関わるゴミの減量の重要性や、地球温暖化の防止を語る上でよく使われる「3R」「4R」についても解説していきます。

地球温暖化とゴミの量との関係

地球温暖化はゴミの排出量とどのような関係があるのでしょうか。ゴミ問題の現状と併せて見ていきましょう。

地球温暖化の仕組み

地球温暖化の仕組み

「地球温暖化」とは地球全体の平均気温が高くなる現象です。平均気温が上がる原因は「温室効果ガス」で、大気中に放出される二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素・フロンといったものになります。

もし地球の大気中に水蒸気や温室効果ガスがなければ、地球の平均気温は約−19℃。

太陽の光は大気圏を通過して地面が光を吸収し、温められた地面から赤外線となり熱が放出されます。その後、大気中の温室効果ガスが熱を吸い取り、一部の熱を地球に向けて放出して地面や大気を温め、それが繰り返されることによって私達が暮らせる気温になるのです。

しかし、産業発展のための生産や焼却、森林伐採などが増えたことで、温室効果ガスの濃度が年々高くなっていきました。温室効果ガスが熱を吸収する量の増加に伴って地球に向けて放出される熱も増え、平均気温が上がり続けてしまうというのが地球温暖化の仕組みです。

過去記事「地球温暖化の現状を知り、私たち1人ひとりができることを考える」もチェック

ゴミ処理による燃焼で二酸化炭素が排出される

ゴミ処理による燃焼で二酸化炭素が排出される

人間が産業発展のための生産や焼却、森林伐採などにより増やした温室効果ガスで1番多いのが二酸化炭素(以下CO2)。石炭や石油などの燃料消費によるCO2は、温室効果ガス総排出量の約65%を占めています。

また森林破壊や山火事などによるCO2排出量は約11%、その他セメントの生産時などでも大量な二酸化炭素が排出されます。

参照:気象庁 温室効果ガスの種類

何かを燃やす時に発生するCO2は、もちろんゴミを燃やす時にも発生します。

平成30年度の日本のゴミ排出量は4272万トンで、内訳は生活系ゴミが2,967万トン・事業系ゴミが1,304万トンと、全体の約69%が生活系で家庭から出るゴミです。

なお、家庭から出るCO2排出量のうち、ゴミ廃棄によるものが占める割合は4.4%。一見少ないように見えますが、これはカーボン・ニュートラル(排出されるCO2と吸収されるCO2が同じ量で中立という考え)という考えに基づいた推計にすぎません。

つまり、プラスチックなどの非バイオマス素材の焼却により発生するCO2や、棄物処理施設で処理する際に出るCO2のぶんを推計した数字であり、紙類・生ゴミ・木くずなどの燃焼によるCO2排出量はカウントされていません。

しかし、バイオマス素材であっても製品の製造や処理を行うのにエネルギーが使われているので、CO2排出量と吸収量が同じとは言い切れません。

例えば、生ゴミ自体は有機質でカーボンニュートラルですが、約80%が水分なので蒸発させないと燃やせません。ゴミ1トンで55リットルの灯油の熱量と同じエネルギーが必要になり、生ゴミを燃やすための水分蒸発に余分なエネルギーをかけています。

生ゴミに関しては堆肥化などの対策もありますが、各家庭でコンポストなどは場所と管理が万人にできる対策ではありません。また自治体で補助金や助成をしているところもある「生ゴミ処理機」は電力が必要でCO2が発生するため、有機質でも一概に「ニュートラル」とは言えないでしょう。

参照:一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について

増え続ける世界のゴミの量

増え続ける世界のゴミの量

世界各国のゴミの量は、経済の発展度合いや、処分場に適した場所があるかどうか、予算の大きさなどによって異なります。2019年の世界のゴミ排出量ランキングでは、1位アメリカ、2位中国・3位ドイツ・4位日本・5位フランスと先進国が続いています。

また開発途上国に関しては、地球温暖化だけでなく管理や衛生面も大きな課題です。国や自治体によるゴミ収集が行われず捨てられたままになっていたり、回収はされても焼却されずにそのまま埋めるだけの状態といるところもあります。

参照:ジャイカ 世界のごみの現状を知る

開発途上国では経済が少しでも発展すると、ゴミの量は2倍以上に増える傾向が見られます。急激に増えることで収集や処分が追いつかず、ほぼ処理されずに放置されるケースも少なくありません。

有機物だけではなくプラスチックや電化製品などの自然に戻らない素材を放置すると、有害物質や腐敗により発生したガスで自然発火して火事を引き起こす可能性も。また有害物質が湖・川・地下水へ流れ込むことで、その水や魚で生活を支えている人々の健康を脅かす危険性もあると言えます。

ゴミを減らすための3R・4Rとは

ここでは、地球温暖化対策やゴミの減量を語る上でよく使われる「3R」や「4R」の意味を解説していきます。

ゴミ減量化のための「3R」とは

ゴミ減量化のための「3R」とは

「3R」は3つの英単語の頭文字から来ており、ゴミをなるべく減らしてゴミの焼却量や埋め立てなどの地球への負担を減らすことが目的としています。

3Rの優先度は以下の順番です。

Reduce(リデュース):排出抑制
ごみの発生や製品を作るときに使う資源の消費を減らす。ものを大切に使用し、長く使えるものを購入する。

Reuse(リユース):再利用
繰り返し使うこと。

Recycle(リサイクル):再資源化
再び資源として使うこと。Remanufacturing(リマニュファクチャリング:メーカーなどが使用後の製品を回収して部品などを交換して製品をつくり直したり、廃棄製品から使用できる部品を新たな製品に使う)もリサイクルの1つと言える。

3Rは1980年代の中頃にアメリカが使用したのが始まりだと言われており、日本では平成12年に循環型社会形成推進基本法(循環型社会基本法)によって廃棄物やリサイクル対策の優先順位を明確にしました。

ゴミ減量化のための「4R」とは

ゴミ減量化のための「4R」とは

「4R」は3RにRefuse(リフューズ)を追加したもので、欧米諸国では4Rが基本です。

Refuse(リフューズ):発生回避
ゴミになるものを買わない。不要なものは断ること。

「不要なものを買わない・もらわない」ということを徹底すればゴミを出さずに済むという考えで、優先順位としてはReduce(リデュース)の次に優先すべき項目となっています。

ちなみにアメリカのサンフランシスコでは、4Rを3R+「Rot(ロット):腐る(土に還る)」と考えています。

サンフランシスコでは「ゼロウェイスト(廃棄ゼロ)」を目指し、2009年から生ごみの分別と収集が義務化。生ごみを肥料にして「土へ還す」という取り組みを行い、つくられた肥料は近郊のワイナリーや地元の農家で利用されています。

その他にもトウモロコシなど植物由来の素材でつくられたテイクアウト容器やカトラリー、ゴミ収集袋などがあり、生ごみと一緒に肥料となって土に還るような工夫を行っています。

3Rや4Rの他にも、以下の単語を追加した7Rや10Rという考えのもと取り組みを行っているところもあります。

Repair(リペア):修繕
壊れても直せるものは直して使う。

Remix(リミックス):再編集 または Reform(リフォーム):改良
すでにある資源を再編集する。例:着なくなった服に手を加えて着られるようにする。

Refine(リファイン):分別
捨てる時には分別する。

Rethink(リシンク):再考
本当に自分に必要なものなのかを考える。

Rental(レンタル):借りる
買わずに借りる。

Retune(リターン):戻す
携帯電話など、購入先に戻す。

Rebuy (リバイ):買う または Regeneration (リジェネレイション):再生品
リサイクルやリユースなどの再生品の利用・購入をする。

React (リアクト):響き合う または Recreate (リクリエート):楽しむ
自然体験の時間を持つことで、環境保全への関心・意識を高める

Reconvert to Energy (リコンバート トゥ エナジー):再返還
再利用できないゴミの燃焼で発生する熱をエネルギーとして利用する。

Restore (レストア):復元 または Reforest:(レフォレスト):再植林
自然環境の復元。

最後に

地球温暖化を防止していくには、国や企業だけでなく、私たち一人ひとりもSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を意識し、ごみ削減に向き合っていくことが重要です。また個人の関心が広がっていくことで、組織が大きな取り組みを始めることにも繋がっていきます。

今後もWEELSでは地球温暖化の問題を取り上げ、皆さんに興味を持っていただけるようなコンテンツをお届けしていきたいと思います。

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