現在、さまざまな分野で「持続可能かどうか」が、良さを考える上で1つの物差しとなっています。それは、2030年までの目標であるSDGsでも誓っている、誰1人取り残さない社会を実現するのに大きく関わるテーマです。
持続可能な社会を目指すという話の中でよく耳にするのが、「持続可能な働き方」というキーワード。
人生100年時代と言われるようになり、定年退職する年齢も年々上がっています。また、コロナ禍において、働く方法もどんどん変わってきています。
- やりたいことを仕事にする
- やりがいのあることを仕事にする
- 自分に合った方法で働ける環境を見つける
これらが揃っていれば、持続可能な働き方に近づいていると言えそうですが、実際何をどうすればいいのでしょうか。
今回は、持続可能な働き方について、筆者の私自身が実際に経験した転職活動をヒントに考えていきたいと思います。
ポジティブな転職活動とは
そもそも、日本のビジネスパーソンは、転職活動に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。
大手転職情報サイトdodaの調査によると、転職に対してビジネスパーソンの約3人に1人以上がポジティブなイメージをもっていることがわかります。
また、今後転職することが一般的になっていくと答えた人は、全体の半分以上になっています。
転職が一般的になっていくということは、人々が転職活動をすることが増えるということです。ここで大切なのは、転職活動の本質です。
転職活動の本質は、「転職をすること」ではなく、「自分にとって持続可能な働き方を見つけること」なのだと、実際に私が転職活動を進める中で感じています。
転職活動をしたからといって、すべての人が転職を決めるわけではありません。中には、今の仕事の良さに気づき、転職をしないことを選択する人もいます。
では、具体的にどのような就職活動であれば、自分にとって意味のある転職活動となり、持続可能な働き方を見つけるヒントとなるポジティブな転職活動となるのでしょうか。
転職活動をしなければ経験するはずのなかった3つのこと
普段よく耳にする言葉に、「何事も経験」という言葉があります。何事も経験をすることで、自分の成長に繋がっていくという意味です。
実際に自ら経験することで、自分の好きなことであるかどうか、ずっと続けられることであるかどうかを自分で判断できるようになります。
ここでは、私が転職活動をしなければ経験することのなかった3つのことから、ポジティブな転職活動について考えていきたいと思います。
するはずのなかったセルフプロデュース
普段の日常の中で、今までの自分を振り返り、自己分析をする機会はあるでしょうか。また、自己分析した結果を、人に伝わるような言葉で表現しているでしょうか。
転職活動は、自己分析を行い、人に伝わる形で言語化することから始まります。
自己分析の結果を言葉にして人に伝えるセルフプロデュースは、自分の可能性を見つけ、持続可能な働き方を見つける1つのヒントとなります。
例えば、今までと違う業種で転職活動を行うのであれば、今までの自分の経験を違う視点で捉え直す必要があります。
私は、数年間教員として働いてきました。そんな私が、営業職に転職しようと思ったら、どのように自分をプロデュースする必要があるでしょうか。
私は、自分の強みとして、「同年代の人と比べて、より多様な人と関わりコミュニケーションを重ね、より深い関係を築いてきた」自分をプロデュースすることにしました。
多様な人と深い関係を築くことは、教員としての経験を振り返り、私自身が辿り着いた自分のやりたいことであり、そして得意なことでした。
より抽象化して自分のやりたいことを言語化することは、多様な職種や環境に自分が貢献しうる可能性を見つけることに繋がりました。
するはずのなかった考えの共有
ある団体では、事前に出された課題について話し合う形で面接が進んでいきました。使い捨てプラスチックについての考えを自分なりにまとめて、プレゼンをするという課題です。
それまで、使い捨てプラスチックについての自分の考えを、人に伝えようと思ったことはありませんでした。私なりにいろいろな資料を調べ、具体的に事実とともに考えを伝えました。
使い捨てプラスチックについての考えを発信する経験はもちろんのこと、その考えに対しての振り返りが団体側から返ってくることで、就職活動を通じて学びを得ることもできました。
しかし、この経験から、私が環境問題を考える上で取り組みたいのは、使い捨てプラスチックを切り口にしたものではないのかもしれないと考えるようになりました。
環境により多くの負荷をかけているエネルギー分野の変革の方が急務だと考えたり、ともにアクションを起こす仲間とのネットワークを広げたりすることの方が、優先順位として高いと考えるようになったのが理由です。
この課題への取り組みを機に、環境問題に対して、自分が取り組みたいことをより明確にできました。
具体的に就職活動を進めていくことで、自分が取り組んでいきたい問題であったり、したい活動を見つけることができた経験となったのです。
知るはずのなかった価値観との出会い
みなさんは、TOYOTAという企業に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。
日本の企業が競争力を失い、どんどん他の国の企業に遅れをとっている中、世界でも高い競争力を誇る一流自動車企業。
私自身も、転職活動をしていなければ、そのイメージは変わらなかったと思います。
しかし、ある団体の面接で違ったTOYOTAのイメージを聞くことになります。
世界の自動車メーカーの「脱炭素化ランキング」をしているその団体では、TOYOTAのランキングは最下位になるというのです。
世界の自動車メーカーの「脱炭素ランキング」とは、市場の80%を占める大手自動車メーカー10社の目標と行動を検証し、脱炭素化に向けた効果的なステップを踏んでいるかどうかを評価したものです。
このランキングをつくった団体のように、それぞれの団体には、それぞれの価値観があります。その価値観を知ることで、今までの自分の価値観が変わることもあります。自分の価値観が変わるという経験は、結果としてその後の自分の選択や行動に少しずつ影響します。
実際に、TOYOTAにまつわる新しい情報を得たことで、私はさまざまな疑問を抱くようになりました。
大企業で働くことで得るものも当然大きいですが、果たしてそれは持続可能な社会づくりに貢献できているのだろうか。
自分が興味をもった企業が、どのような銀行や企業から資金を集めているのだろうか。
それらの銀行や企業は、他にどのような企業に投資をしているのだろうか。
このように投資の面からも企業研究をし、企業と企業、企業と銀行の関係を調べながら、持続可能な社会づくりを目指している企業を見つけるヒントとなったのです。
参考:[報告書]自動車ランキング2021 – トヨタ、世界の自動車メーカーの中で最下位に
自分にとっての持続可能な働き方を考えよう
今回は、筆者の私自身が経験した転職活動を通じて、持続可能な働き方を考えてみました。
- セルフプロデュースを通じて、自分の可能性を広げる
- 課題を通じて、自分のやりたいことを具体化する
- 独自の価値観に触れ、持続可能な社会づくりを目指す企業を見つける
みなさんは、どのように持続可能な働き方を実現していきますか?
人生100年時代。転職活動をしながら自分に合った持続可能な働き方を模索するのもいいのでは?
参考著書
「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」北野唯我
「仕事に悩む君へ はたらく哲学」佐藤優
グアテマラでの2年間のボランティア活動や学校現場での経験を経て、現在は気候変動問題に取り組む。週に1回マイバリカンでセルフカットするサステナブルBOZU。