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バイオマス発電をかんたんに解説!メリットやデメリットも

二酸化炭素排出量実質ゼロを目指し、2030年や2050年に向け持続可能な社会づくりが世界中で進行しています。日本でも2030年度に、2013年度に比べ温室効果ガスの46%削減を目指すことが表明されました。

温室効果ガスの大半を占めるのが、二酸化炭素。この二酸化炭素の排出量を減らすため、現在使用されているエネルギーを別のエネルギーへと変えていく必要があります。

そこで注目されているのが、バイオマスエネルギーを使った発電方法。今回は、バイオマス発電についてわかりやすく解説します。

バイオマス発電とは

バイオマスとは、木くずなどの木材、生ゴミなどの廃棄物、とうもろこしやさとうきびなどの資源作物のことです。つまり、バイオマス発電とは、それらのバイオマス燃料と呼ばれる生物資源を利用した発電方法のことを意味します。

ここでは、

  • バイオマス燃料を使った発電方法
  • 火力発電とバイオマス発電の違い

について簡単に解説していきます。

バイオマス燃料を使った発電方法

発電とは、端的にいえば電力以外のエネルギーを電力に変えることです。

バイオマス燃料は、手を加えずそのままの状態でエネルギーとなるわけではありません。バイオマス燃料を燃やし熱エネルギーに変換したり、発酵させてメタンガスに変換したりすることで電力に変えることができます。

発電の方式として、大きく分けると3つの方式があります。

  1. 直接燃焼方式
    生物資源を直接加熱することで、発電します。
  2. 熱分解ガス化方式
    加熱することによって、発生させたバイオガスにより発電します。
  3. 生物化学的ガス化方式
    生ゴミなどの廃棄物を発酵させ、発生したバイオガスにより発電します。

木くずや生ゴミを燃やして発電をすると聞くと、火力発電を想像する方もいるかもしれません。では、火力発電とバイオマス発電の違いはどこにあるのでしょうか。

火力発電とバイオマス発電の違い

火力発電は、化石燃料を燃やして発電をします。化石燃料とは、石油・石炭や液化天然ガスなどのことです。

これらを燃やすと、化石燃料として長い年月をかけて個体化や液体化していた二酸化炭素が、空気中に大量に排出されます。化石燃料を今のまま燃やし続けながら、持続可能な社会をつくるのは難しいといわれています。

一方、バイオマス発電は化石燃料を使いません。しかし、使わないといっても、バイオマス燃料を燃やせば二酸化炭素は出ます。それでも、地球にとってやさしいエネルギーなのです。それは、なぜでしょう。

燃やすことで排出されている二酸化炭素は、つい最近まで空気中に漂っていた木や農作物が吸収した二酸化炭素だからです。つまり、実質空気中に二酸化炭素は増えていないのと同じ。あくまでも理論上ですが、プラスマイナスゼロなのです。

そのような意味で、化石燃料を利用しないバイオマス発電は、環境に負荷をかけない発電方法として注目されています。

ただ、どのようなものでもメリットとデメリットがあるもの。次からは、バイオマス発電におけるメリットとデメリットを見ていきましょう。

バイオマス発電のメリット・デメリット

バイオマス発電のメリット・デメリットを考える際に、まず注目したい点は2つです。

  1. 発電量の安定性
  2. 発電する過程での環境負荷

なぜ発電量が安定しているのか。また、どのような点で環境負荷をかけてしまうのか。さっそく見ていきましょう。

安定した再生可能エネルギー

バイオマス発電は、再生可能エネルギーと呼ばれています。再生可能エネルギーとは、いつまでもその燃料をエネルギーとして使い続けられるものを言います。

例えば、太陽光は、いつまでも使い続けることのできる再生可能エネルギーです。しかし、1年中太陽の光を利用し続けられるでしょうか。時には曇りの日も、雨の日もあります。

つまり、太陽光エネルギーは、安定した再生可能エネルギーだとは言えません。

では、バイオマス発電はどうでしょう。バイオマス発電は木くずや生ゴミなどのバイオマス燃料を発電に利用します。バイオマス燃料は、林業で木を切った後にでる木くず、食事をした後にでる残飯など、毎日の生活の中で得られるものです。

つまり、バイオマス燃料は、比較的安定した再生可能エネルギーであり、メリットの1つだと言えます。

また今までゴミとして扱われていたものを資源と考え、バイオマス燃料として活用することも、地球環境を守っていく上での重要なアイデアです。

バイオマス発電による環境負荷

しかし、バイオマス発電はメリットばかりではありません。バイオマス発電を行う過程で、バイオマス燃料の運搬によって生まれる温室効果ガス排出により、どうしても環境に負荷がかかってしまう側面があります。

例えば、様々な種類のバイオマス燃料がある中、生ごみなどの廃棄物を燃料として集めようと思ったら、どこに発電所をつくるのが良いでしょうか。きっと街中に作るのが一番効率的でしょう。

しかし、バイオマス燃料は生ごみだけではありません。様々なところからバイオマス燃料が生まれるわけなので、街中にだけ発電所を作るわけにはいきません。また、燃料は発電所まで運搬する必要があり、トラックなど化石燃料を用いた方法を利用することになります。

つまり、バイオマス燃料を収集できる地域が広範囲に分散していることで、運搬にかかる温室効果ガスを多く排出することになります。結果として、環境に負荷がかかってしまうというのがバイオマス発電のデメリットです。

バイオマス発電の今後の展望

資源エネルギー庁が発表したエネルギー需給実績(速報)によると、2020年度の発電電力量全体が10,013億kWhであったのに対し、バイオマス発電量は288億kWhでした。これは、発電量全体の3%ほどしかありません。

また、資源エネルギー庁が発表した2030年の発電量の構成では、バイオマス発電は、3.7%~4.6%程度の発電量とされています。

再生可能エネルギーの利用率を高めていくことが、持続可能な社会を実現するのに求められますが、現在のところバイオマス発電がその主軸を担うということにはなさそうです。

とは言え、安定した再生可能エネルギーであるというメリットを活かし、不安定な再生可能エネルギーを補う発電方法の1つとしては期待できるかもしれません。

参考:令和2年度(2020年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)

参考:1章 日本のエネルギー事情と原子力政策 日本のエネルギー政策 〜2030年、2050年に向けた方針〜

まとめ

今回は、バイオマス発電について解説しました。かつてはゴミだったものを、資源として再利用しようとするアイデアがなければ生まれなかった発電方法かもしれません。そういったアイデアが、今後も社会をより良いものにしていくでしょう。

どのような発電方法にも、メリット・デメリットがあります。それらを上手く補い合いながら、持続可能な社会を実現していけたらいいなと思います。

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