ソーシャルグッドな発信で、SDGsの考えを広めるメディア「WEELS」

エシカル消費とは?SDGs「つくる責任 つかう責任」で変化する消費者の価値観

4〜5年前から「エシカル」や「エシカル消費」という言葉をよく耳にするようになりました。エシカルは資本主義経済の在り方を変える、新しい概念の一つと言えます。

限られた資源を本当に必要な分だけ、人・環境・社会に健康的な方法で生み出し、大切により長く使うことでできる倫理的なものの循環。エシカル消費が広まっている背景や社会の流れを見ていきましょう。

エシカル消費とは

エシカル消費は消費者自らが、地球環境や社会への影響を考えて買い物をすることです。

食べ物や日用品、洋服など必要なものが、当たり前のように簡単に手に入る現代の日本。ものの価値を見直し、消費者一人ひとりが地球上の課題を自分ごととして捉えるきっかけとなるアクションがエシカル消費の考えです。

具体的には、生産者との公平な取引を促すフェアトレードの商品や、オーガニック製品、地産地消や動物福祉を促進している商品を積極的に選択して買うことです。また、普段の買い物でマイバッグやマイボトルを持ち歩いたり、食品や衣類は必要な分だけ購入したりと、無駄な消費や使い捨てを減らすこともエシカル消費の一種です。

エシカル消費の例

ファッション

大量に安く生産された衣服を生産している裏側では、低賃金・長時間労働といった労働搾取によって成り立っているケースが、度々メディアなどで報道されるようになりました。ファストファッションブランド「ユニクロ」が、中国のウイグル族への強制労働による人権侵害をしているという告発も話題となっています。

また衣服を生産する上での水の使用料や、売れ残りの廃棄、リサイクル率の低さ、動物の権利といった部分も問題視されるようになってきました。

これらのような状況に疑問を抱き、環境破壊や人権侵害に貢献しない商品を購入してファッションを楽しむ人たちが増えています。「エシカルファッション」とも呼ばれており、衣服だけでなく、バッグやアクセサリーなども含まれます。

【SDGs】「作りすぎ」によって起きる様々な弊害を考える|SDGs目標12「つくる責任つかう責任」

食品

地域活性化の観点から、その土地で生産されたものを地元民が消費する「地産地消」は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」に大きく貢献できると言えます。また前述したように、スーパーで買い物をする際はエコバッグを利用したり、飲み物はマイボトルを利用することで、ごみの減量にも繋がります。

何らかの理由で食べられずに廃棄されてしまう「食品ロス」も、ごみとして燃焼することで二酸化炭素が排出されます。地球温暖化に貢献しないよう、食べ物を残さないという考えを持つこともエシカル消費の1つだと言えます。

食品ロスの問題点を知る|現状や問題解消への取り組みも

家電・乗り物

家電や乗り物を使用するにはエネルギーが必要です。使用量が増えれば増えるほど。資源や温室効果ガスなど、環境への負荷が大きくなっていきます。

逆を言えば、省エネに優れているものを選ぶことで、地球温暖化防止に貢献できます。例えば自転車や、「エコカー」と呼ばれる電気自動車を主な移動手段としたり、なるべくエアコンを使用しないという選択もエシカル消費の形だと言えます。

二酸化炭素を排出せずソーラーパネルのリサイクル率を95%以上に。次世代へ美しい地球を残すために

エシカル消費とSDGsの関係性

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な消費・生産のパターンを確保する」ために定められました。

具体的には、

  • 天然資源の持続可能な利用
  • 食品ロスの削減
  • 廃棄物の削減
  • 開発途上国への持続可能な技術支援

などがあります。

現在、世界の食料のうち3分の1が、食べられることなく捨てられていると言われています。果物・野菜・いも類については生産量の約半分となる45%、牛肉は全体の約20%にあたる牛7,500万頭分が捨てられていることがわかっています。

アメリカの国際研究機関「グローバル・フットプリント・ネットワーク」は、地球が持つ力以上に大量の資源を使っていることを分かりやすく提示するために、「アース・オーバーシュート・デー」を定めています。

アース・オーバーシュート・デーは、その年の地球資源を使うスピードが再生速度を上回っていることを知らせる日。2020年は8月22日で、生態系が再生する速さの1.75倍のスピードで資源を使っていることを意味します。

このことから、「つくる責任 つかう責任」で定められているように、資源の使い方を改善するための多方面からのアプローチが急務であることがわかります。

参考:ユニセフ

   アースオーバーシュートデイ

なぜエシカル消費が広がっているのか

消費者庁がまとめたエシカル消費に関する意識調査で、「エシカル消費」という言葉を知っている人は2019年時点で12.2%で、2016年に比べて2倍となっています。このうち約半数の人がインターネットやSNSで知ったと答えており、企業や個人のネットを通じた発信が少しずつ周知に繋がっています。

また、エシカル消費に興味があると答えた人は、2019年時点に59.1%で、2016年の35.9%に比べて大きく上回っています。

参考:「倫理的消費(エシカル消費)」に関する 消費者意識調査報告書 P.19

戦後の高度経済成長期では、大量のものを安くスピーディーに生産できるようになりました。

一方で、資本主義による大量生産・大量消費による利益を重視するあまり、環境や社会、人権に関わる問題がないがしろにされるケースも少なくありませんでした。結果として温室効果ガスの排出量が大きく増加し、異常気象による災害が各地で発生するなど、目に見えて地球の変化を感じられるようになってきています。

さらに、倫理的な問題提起をする企業や著名人も多くなってきました。地球や社会の流れが変わり、消費者の問題意識が高まったことで、実際の消費行動にも少しずつ変化が現れてきていると言えます。

エシカル消費をするためのポイント

エシカル消費の概念が分かってきたところで、いざエシカルな商品を買おうと思った際にどんなことを気をつけていけば良いのでしょうか。ここでは簡単に誰でもできる方法として以下の3つを提案します。

  • 認証ラベルを確認
  • 生産地を確認
  • 本当に必要か、長く使えるかを考える

最も分かりやすいのは商品のパッケージやタグに記載されている認証ラベルや環境ラベルをチェックすることです。

主な種類として、

  • エコマーク
  • 有機JASマーク
  • MSC認証
  • FSC®認証
  • レインフォレスト・アライアンス認証
  • 国際フェアトレード認証
  • GOTS

などのオーガニックに関する認証があります。

また、食品や衣類であれば、どの国・地域で作られているかも記載されているはずです。地産地消の観点からすると、より自分の居住地に近い国・地域であればあるほどエシカルだと言えるでしょう。

最後に、「購入する前に本当に必要なのか」「大切に長く使えるか」を一度立ち止まって考える習慣をつけるのもポイントです。無駄な消費や使い捨てをなくし、一人ひとりが自らの意思で大切な地球を守っていきましょう。

認証ラベル参考

東京暮らしWEB 関連する認証ラベル・マーク

一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会

最後に

エシカル消費のことを調べてみると、様々な社会の流れから必然的に生まれ、今ではたくさんの取り組みが行われていることがわかりました。

今後は食やファッションだけでなく、社会を取り巻くあらゆる分野へ広がっていくことでしょう。生産者や環境、地球の未来に思いをはせて、今日の買い物から一つひとつ行動を変えてみませんか。

<こちらの記事もチェック>

エシカルファッションとは?注目を集める理由や、企業の取り組み事例も紹介

資本主義の限界?数や量から「質」へのシフトを迫られる社会

世界の地球温暖化対策への取り組みを知ろう!歴史や各国の具体例も紹介

PAGE TOP