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二酸化炭素を排出せずソーラーパネルのリサイクル率を95%以上に。次世代へ美しい地球を残すために

株式会社新見ソーラーカンパニーの代表を務める佐久本 秀行さん。二酸化炭素を排出せずにソーラーパネルをリサイクルし、95%以上のリサイクル率を可能にする装置の開発に成功しました。

また、子どもの夢を応援するための「ドリームチャレンジャー」も主催するなど、ソーシャルグッドな取り組みを積極的にされています。

今回は、そんな佐久本さんにインタビューをさせていただき、起業ストーリーから、ソーラーパネルのリサイクル装置開発、次世代の子どもたちへの想いを聞くことができました。

佐久本 秀行社長のプロフィール

岡山県新見市在住のソーラーパネル専門家。放射線技師として約10年勤務後、2009年に株式会社新見ソーラーカンパニーを設立。株式会社H.Sアグリソーラーの代表も務め、太陽光発電を利用した農作物を栽培・販売。新見市の子どもの夢を応援する「ドリームチャレンジャー」といったソーシャルグッドな活動にも取り組んでいる。

太陽光発電に興味を持ち始めたきっかけ

太陽光発電に興味を持ち始めたきっかけ

私が太陽光発電に興味を持ち始めたのは30年ほど前。高校生の頃に未来のエネルギーについてのテレビ番組を見て、石油は今後40年で枯渇するというのを知ったのがきっかけでした。

その頃は太陽光発電と言えば電卓についていた小さいソーラーパネルくらい。「こんなもので家の電気をまかなえるのか?」と思ったくらい一般的なものではありませんでした。

その後大学に進学して放射線技術を勉強したのですが、レントゲンのX線が発生する原理などを知っていくうちに発電の仕組みにどんどん興味が増していきました。秋葉原で太陽光発電の部品を買い、自分で調べながら発電の実験するようになるまでのめり込んでいったのです。

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当時はまだ「再生可能エネルギー」といった言葉はあまり一般的ではなく、水力・風力・太陽光といったものを発電に使えたらいいのではないか、といった認識くらいのものでした。

「水力発電や風力発電は誰にでもできるようなものではないが、太陽光発電ならそう大した仕組みじゃないし、自分でもできそうだ。」

そう思い、はじめは日本のメーカーにソーラーパネルを売ってもらおうと思ったのですが、片っ端から断られてしまいました。というのも、国内メーカーでは高額な施工セットありきの売り方しか取り扱いがなかったのです。

もともとDIY思考でのめり込んだら突き進むタイプの人間なので、もっと安くつくれる方法はないかと思い、自分で調べながら模索していきました。

そこで辿り着いた答えが「中国の会社から買う」ということでした。中国では当時から700社ほどの業者があり、日本だと1枚10万円くらいするものが、中国のものだとなんと3万円くらいで買えたのです。

まずは400社ほどのスペック表を見比べながら絞り込み、その中の数社からソーラーパネルを購入して発電の実験を行いました。最終的に2社まで絞り込んで中国まで直接交渉しに行き、パネルの生産をしてもらえることになり、何度も断られていたオムロンさんからもパワコンのみを販売してもらえることになりました。

「このコストだったら国内メーカーよりもかなり安く売れるし、十分利益も取れる。太陽光発電であれば環境にもよいし、電気代も安くなる。」

その頃はちょうど「地球温暖化」という言葉が出始めたとき。このままであれば二酸化炭素の排出量はどんどん増え続けるし、そうなれば将来的には電気自動車といったものも出てくるだろうということは容易に想像できました。

美しい地球を次世代に残すためにも、自分が動けば貢献できるかもしれない。そこで2009年に株式会社新見ソーラーカンパニーを立ち上げ、太陽光パネル販売メーカーとして起業することとなりました。

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二酸化炭素を排出しないソーラーパネルリサイクル装置の開発に成功

二酸化炭素を排出しないソーラーパネルリサイクル装置の開発に成功

実は、太陽光パネルは永久に使えるものではなく、寿命は20〜30年ほど使用したら廃棄することになります。現在は埋め立てか焼却が主な処理方法ですが、焼却すれば有害物質や二酸化炭素が排出されますし、適切に処理されずに埋め立てられて山火事や土壌汚染を引き起こす可能性もあります。

「そのような問題があるにも関わらず、太陽光パネル販売メーカーとして、このまま売りっぱなしにしててはいけない。」

美しい地球を次世代に残すためにも、事業者・個人として環境問題に向き合う必要性を強く感じるようになり、2017年からソーラーパネルのリサイクルに取り組むこととなりました。それが今回開発に成功した「二酸化炭素を排出しないソーラーパネルリサイクル装置」です。

色々調べながら実験に実験を重ねた結果、理論上の設計図は出来上がりました。しかし、制作するのにコストが膨大にかかるというのがあったため、ものづくり補助金を申請。無事採択され、プロトタイプ(試作品)を完成させることができました。

従来の装置のリサイクル率70%に比べ、弊社の開発した装置だとリサイクル率は95%以上。二酸化炭素が発生せず、パネルのガラス以外にもセルや銅線、接着剤、バックシートといった部品もリサイクル可能です。

イメージ図

これにより、弊社では太陽光パネルの販売からリサイクルまでワンストップで行えるようになります。

再利用できる資源を増やし、地球環境に優しいサステナブルな社会を目指す。そのような循環型社会づくりに企業として貢献していきたいと考えています。そのためにも、現在は共にリサイクル事業を発展・拡大させていけるパートナー企業を募集しています。

子どもの夢を応援する「ドリームチャレンジャー」

ドリームチャレンジャー2020 優秀賞「プロ野球選手」石倉昊志くんと、東北楽天ゴールデンイーグルス高田萌生選手

新見ソーラーカンパニーでは、子どもの夢を応援する作文コンクール「ドリームチャレンジャー」を2019年より主催しています。具体的には、5年生から6年生に進級する小学生に、春休みの期間を利用して具体的な夢を作文してもらいます。

それをまずは社内で一次選考、次に新見市教育委員会をはじめとした外部選考委員で二次選考が行われ、最優秀賞・優秀賞・入賞を決定していきます。なお、私たちが選考の基準としているのは文章の上手さではなく、「どれだけその夢を応援したくなるか」です。

最優秀賞と優秀賞に選ばれた子どもたちには、彼らの夢をかなえてあげるための何かをしてあげます。例えば、宇宙飛行士になりたい子どもであればJAXAに連れて行ってあげるなどです。コロナウイルス流行があって実現できませんでしたが、受賞した子を小学生を海外に連れていく予定もありました。

子どもの持つ夢に近いものを見せてあげることで彼らが刺激を受け、夢をかなえるための小さなハードルを超え続けていく素晴らしさを感じてもらう。いつかドリームチャレンジャーから新見市や岡山見を背負った人材が生まれたらとても嬉しいです。

「今の子どもたちは夢を持てない」と言われる時代ですが、それは大人がかっこいい背中を見せられていないというのも理由だと考えています。将来を担う子どもたちは宝のような存在であるからこそ、新見市全体が子どもの夢を応援してあげられるような町にしていけるよう、これからも多くの方々に協力してもらいながらこの取り組みを継続していきたいです。

最後に

佐久本社長とお話をさせていただき、「のめり込む姿勢」や「諦めない粘り強さ」が夢の実現や成功に繋がるということを改めて認識することができました。

「次世代に美しい地球を残したい」
「未来を担う子どもの夢を応援したい」

そんな強い想いと、人生をかけて仕事に取り組む姿勢で、「かっこいい大人の背中」を次世代の子どもたちに見せ続ける。そんな新見ソーラーカンパニー並びに佐久本社長の事業や取り組みをWEELSは今後も注目しながら応援していきたいと思います。

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